宇宙活動法可決・成立

宇宙開発への民間事業者の参入を促進するため、人工衛星の打ち上げを一定の基準を満たした民間事業者にも認めることを柱とした「宇宙活動法」と「衛生リモートセンシング法」の宇宙関連の2つの法律が9日の参議院本会議で可決・成立しました。

今まで日本政府はJAXA(宇宙航空研究開発機構)とJAXAが委託した三菱重工業にしかロケットによる人工衛星の打ち上げを認めていませんでした。

 

「宇宙活動法」は

・政府が定める基準を満たし

・事前審査を通過し

・打ち上げに失敗した場合に備えて損害保険の契約を結ぶことで

民間企業にもロケットの打ち上げを認めることを定めたものです。

 

「衛星リモートセンシング法」は、

民間事業者が管理する人工衛星から撮影された精細な画像記録がテロなどに悪用されないよう、安全保障上の支障がある場合には、政府が画像記録の販売や提供を禁止する規定などが盛り込まれています。

国内では2社の宇宙ベンチャー企業が格安ロケットの開発を推進!

北海道赤平市にある社員20人ほどの産業用機器メーカー「植松電機」は、北海道大学とともに低価格ロケットの開発に取り組んでいます。このアイディアは燃料にレジ袋と同じ素材を使うことで取り扱いの危険性を減らし、大幅なコストダウンを図ることに成功しています。これまでに高度7キロまで打ち上げる実験に成功し、2年後には高度100キロを超える打ち上げ実験に臨むことにしています。

また、北海道大樹町に拠点を置く社員10人余りのベンチャー企業「インターステラテクノロジズ社」は、超小型衛星を打ち上げる格安ロケットの開発を目指しています。これまでに高度6キロ付近まで打ち上げる実験に成功していて、年明けにも高度100キロまで打ち上げる実験に挑むことにしています。

このベンチャー企業の社長の稲川貴大さんは、9日に宇宙活動法が成立したことについて、「私たちが待ち望んでいた法律がようやく成立し、民間企業が宇宙開発に臨む土台ができた。アメリカでは、この法律が30年以上前に作られただけでなく、その後も国の政策として民間の宇宙開発を後押しをしてきたので、ここまで発展してきたのだと思う。日本も法律を作るだけに終わらせず、今後、私たち民間企業が活動しやすくなるような政策を打ち出していってほしい」と話しています。

日本の宇宙関連機器の市場規模は、民間の参入が進むアメリカのおよそ16分の1にとどまっています。このため、政府は、今後10年間で国内の宇宙関連機器の市場規模を今のおよそ2倍にする目標を掲げています。

宇宙分野への民間企業の参入が進んでいるアメリカは、宇宙関連機器の市場規模がこの10年間で1.4倍余りに拡大し、日本円でおよそ5兆円に達しています。
一方、日本は、宇宙関連機器の市場規模はこの10年ほとんど伸びず、アメリカの16分の1のおよそ3000億円にとどまっています。また、日本の市場のおよそ90%は政府の需要で、民間の需要はまだまだ小さいものとなっています。

この法案の成立によって日本がようやく三菱重工の独占状態から抜け出すことができます。これからは民間が堂々とロケットや衛生の開発ができるようになります。ですがこの法案ができても三菱重工のロケットだけ国が保護しているような、民間との対立関係を是正しなければアメリカから30年以上遅れた宇宙産業やマーケットが育つことはありません。

そしてこの法案には有人飛行や宇宙旅行の民営化は織り込まれていません。これをきっかけに有人宇宙飛行の分野も民間に広く開かれることを希望します。